あなたはどこにいるのか

 創世記3章1~11節は、人間の神への不従順と、それに伴う神との関係の変容を伝えます。蛇の半ば真実を突く巧妙な言葉に誘惑されて禁じられた実を食べた人間は、目が開かれて自分たちの裸を知るのです。その結果、かつての無垢な信頼は罪への恐怖へと変わり、園を歩く神の足音を聞いた二人は木立の中に身を隠しました。この逃げ隠れた人間に対し、神は「あなたはどこにいるのか」と呼びかけます。これは、単に相手の居場所を知らない無知な尋ね人としての質問ではなく、全てを知った上でなお自らの前に進み出てもらうように促す、愛と信頼に基づいた呼びかけです。隠れている子供に親が呼びかけるように、人間が自ら進み出て行動を説明するよう促しています。しかしアダムは、自らの罪を告白せず、裸を理由に恐れて隠れ、真実から目を背けてしまうのです。こうして罪によって隠れようとする人間ですが、主なる神はそんな人間を対話へと引き戻し、憐れみをもって向き合おうとしてくださっているのです。それでもなお私たちに向き合い続けようとされる神さまの愛が、イエス・キリストを通して、今も私たちに注がれ続けているのです。 

中村恵太